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演出家・柳沼昭徳が2021年から約4年にわたり“こつこつ”向き合ってきた、演劇的実験性の高い、三好十郎の知られざる戯曲。新たな試みとなる「Studio公演」(公開の試演会)として、ついにお目見え!
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(上段 左から)石橋徹郎、金子岳憲
(下段 左から)林田航平、峰 一作、滝沢花野
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演出 柳沼昭徳
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芸術監督小川絵梨子
2025年4月15日(火)~ 20日(日) 新国立劇場 小劇場
2025年2月15日(土)10:00 ~ 一般前売スタート!
/ 写真・資料のご請求、取材のお問い合わせ /
新国立劇場 制作部演劇 広報担当 杉田亜樹 TEL: 03-5352-5738 FAX: 03-5352-5737
E-mail: sugita_a8863@nntt.jac.go.jp
〒151-0071 東京都渋谷区本町 1-1-1
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作品について
小川絵梨子演劇芸術監督が、その就任とともに打ち出した支柱の一つ、「演劇システムの実験と開拓」としてスタートした「こつこつプロジェクト」。時間に追われない稽古の中で、一年間をかけて試演を重ね、その都度、演出家と芸術監督、制作スタッフが協議を重ね、上演作品がどの方向に育っていくのか、またその方向性が妥当なのか、そしてその先の展望にどのような可能性が待っているのかを見極めていくプロジェクトです。
この『夜の道づれ』は、2021 年からスタートした第二期からの参加作品です。22 年 2 月に行われた最終試演会後、さらに作品を深めてはどうかという協議がなされ、演出家の柳沼昭徳は、引き続き第三期メンバーの一人として、2024 年にプロジェクトが再始動。今回は初めての試みである「Studio 公演」として本プロジェクトの現時点の成果を皆様に公開いたします。
三好十郎によって書かれた『夜の道づれ』は 1950 年に文芸誌「群像」に初出、敗戦後の夜更けの甲州街道をとぼとぼと歩いている、男二人の一種のロードムービーのような戯曲。実際に夜の甲州街道で見聞きしたことをありのままに取り上げた、「いわばドキュメンタリイを志したもの」という三好の言葉通り、三好作品の中でもストーリー性は控えめで、とても演劇的実験性の高い作品です。
この作品に、約 4 年にわたり挑み続けているのは、京都を拠点に活躍する劇団烏丸ストロークロック主宰・柳沼昭徳。自身の創作のなかでも、「歩く」ことで人や事物と出会い、対話し、気づくことで過去を清算・懺悔するといった作品を作っていることもあり、本作に惹かれたとのこと。稽古では、実際に甲州街道を歩くフィールドワークを 2 回も行い、戯曲をフィジカル面でも検証。新宿を起点に徒歩移動した実距離と劇進行のタイムラインが重なる部分が多いことにも気づいたといいます。
試演会を重ねるにつれ、「発語」と「歩く」という行為が統合された俳優と、観客がまるで一緒に歩いている感覚に陥る不思議な作品へ変化をとげました。その時間と空間の関係を掘り下げ、さらなる深化を目指します。
/ こつこつプロジェクト Studio 公演とは… /
「こつこつプロジェクト」では、1年間の創作過程の中で、節目ごとに試演を行っています。これまでクローズドで行っていたこの試演を、今回は「Studio 公演」として、観客の皆様に公開いたします。創り手だけではわからない、観客の皆さまからの視点は、作品の強度を上げるための大切な要素。観劇後、演出家や出演者から、直接お客様にご感想やご意見をうかがいます。
[4/17(木)14:00 公演、4/19(土)17:30 公演終了後の 2 回開催]
公開での試演会のため、全席 2,750 円という低価格です。(Z 席 10 席除く)
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あらすじ
敗戦後の夜更けの甲州街道。作家の御橋次郎は、家へ帰る途中、見知らぬ男、熊丸信吉と出会う。歩く道すがら、2人の目の前には、若い女や警官、復員服の男、農夫などが次々と現れる。会話しながら進むうち、なぜ熊丸がこんな夜中にここを歩いているか語られだすのだが 。
演出 柳沼昭徳からのメッセージ
敗戦を境に迎えた 180 度異なる新たな戦後日本の夜明け。人々が戦争の痛みを抱えながら、明日どうなるともわからないながら、復興する街を生きている。三好十郎は、このころの東京の街を歩きました。そこで見聞きしたことをありのままに取り上げたドキュメンタリーとして描いたのが本作です。ここでも多くの三好作品同様「いかに生きるか」という普遍的な問いと、孤独な人間同士が連帯することの絶望と希望が、三好節というべき言葉の質量で描かれています。しかしこの『夜の道づれ』が他の作品群のなかで異彩を放っているのは、台詞で語られる言語だけでなく、人が劇中ほとんどの時間を歩き続けている点にあります。歩くことで生じる体の変化と、連動して生じる心の変化を劇要素にすることで、身体を起点にあるカタルシスを得ようとする挑戦がなされています。 歩く目的を「出離」と三好が表現するように、社会混乱のなか、迷いや不安を断つために世俗から離れ、真理に向かうこの物語ですが、いつの世であっても、七転八倒しながらも足を踏み出し続ける人間。その生き生きとした凄みを体感していただけると幸いです。
スタッフプロフィール
[作] 三好十郎 MIYOSHI Juro
1902 年~58 年。吉江喬松に師事し、早稲田大学在学中に詩人としてデビュー。28 年、高見順らと左翼芸術同盟を結成。同年、処女戯曲『首を切るのは誰だ』を発表。全日本無産者芸術連盟(ナップ)に参加、『疵だらけのお秋』のほか小説・詩を書き、31 年、処女戯曲集『炭塵』を出版。以降、プロレタリア劇作家として知られたが、社会的リアリズムと呼ぶ創作方法により、政治主義・公式主義に不満を抱き組織から離れる。生涯で 57 編の戯曲とラジオドラマの脚本を残し、『炎の人』で 52 年読売文学賞戯曲賞を受賞。そのほかの代表作に『浮標』『斬られの仙太』『おりき』『廃虚』『獅子』『その人を知らず』『胎内』『崖』『冒した者』など。58 年 12 月 16 日、東京・赤堤の自宅書斎で逝去。享年 56 歳。戯曲体で 81 枚、小説体で 130 枚書かれた『神という殺人者』が絶筆未完の遺作となったほか、『悪人を求む』が遺稿として同年 12 月 19 日の読売新聞で発表された。
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[演出] 柳沼昭徳 YAGINUMA Akinori
近畿大学在学中の 1999 年に「烏丸ストロークロック」を旗揚げ、京都を拠点に国内各地で演劇活動を行う。作品のモチーフとなる地域での取材やフィールドワークを元に短編作品を重ね、数年かけて長編作品へと昇華させていく創作スタイルが評価されている。 2015 年京都芸術センター主催演劇計画Ⅱ『新・内山』にて第 60 回岸田國士戯曲賞にノミネートされる。18 年、20年と東京芸術劇場 芸劇 eyes にて『まほろばの景』シリーズを上演、話題を呼ぶ。平成 28 年度京都市芸術新人賞受賞。
出演者プロフィール
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石橋徹郎 ISHIBASHI Tetsuro ────────御橋次郎
文学座所属。1999年『北の阿修羅は生きているか』で初舞台。自主プロデュースの二人芝居『モジョ ミキボー』『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』『アイランド』は、それぞれ1カ月間のロングラン上演を果たし、2019年、演劇ユニット「イマシバシノアヤウサ」を始動。
【主な舞台】『オセロー』『連鎖街のひとびと』『夏の夜の夢』『夜の女たち』『黄昏』『どれミゼラブル!』『三人姉妹』『無伴奏ソナタ』『ペール・ギュント』『紙屋町さくらホテル』『白鯨』『トロイラスとクレシダ』など。新国立劇場では『白衛軍 The White Guard』『リチャード二世』『君が人生の時』『パーマ屋スミレ』『ヘンリー六世』『オットーと呼ばれる日本人』に出演。
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金子岳憲 KANEKO Takenori ────────熊丸信吉
演劇集団ニナガワ・カンパニー・ダッシュ、劇団ハイバイを退団後、舞台を中心に活動の幅を広げている。これまでの出演に映画『彼方のうた』『ほつれる』『リボルバー・リリー』『春原さんのうた』『ひかりの歌』『鈴木家の嘘』『川越街道』『ひとつの歌』、ドラマ『彼女たちの犯罪』『特捜 9』『透明なゆりかご』『真珠湾からの帰還』など。
【主な舞台】『ドードーが落下する』『GOOD-善き人-』『アンナ・カレーニナ』『hana-1970、コザが燃えた日-』『ぽに』『赤鬼』『無選別標本集』『変半身』『糸井版 摂州合邦辻』『ルーツ』『十一ぴきのネコ』『ファーム』『効率の優先』など。
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林田航平 HAYASHIDA Kohei ─────洋服の男・警官2
新国立劇場演劇研修所第5期修了。近年の主な出演にドラマ『焼肉女子会&MORE』、NHK オーディオドラマ『白狐魔記~天草の霧』など。
【主な舞台】『一人芝居 クラップの最後のテープ』『オイディプス王』『ふるあめりかに袖はぬらさじ』『ホテル モントブランク』『家庭教師ヒットマン REBORN!』『野球~飛行機雲のホームラン
~』『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』『リリオム』『アドルフに告ぐ』『HISTORY BOYS/ヒストリーボーイズ』、新国立劇場では『願いがかなうぐつぐつカクテル』『君が人生の時』『マニラ瑞穂記』『ピグマリオン』『長い墓標の列』『サロメ』に出演。
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峰 一作 MINE Issaku ───警官1・復員服の男・中年の農夫
新国立劇場演劇研修所第7期修了。
【主な舞台】『女性映画監督第一号』『本日は、お日柄もよく』『オルレアンの少女-ジャンヌ・ダルク-』、福島三部作第一部『1961年:夜に昇る太陽』『風紋 -青のはて』『カリギュラ』『きらめく星座』『三文オペラ』『まちがいの喜劇』『地を渡る舟』『から騒ぎ』など。新国立劇場では『あわれ彼女は娼婦』に出演。
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新国立劇場演劇研修所第8期修了後、舞台を中心に活動。2018年には演劇ユニット理性的な変人たちを旗揚げし、中心メンバーとして携わっている。これまでの主な出演に映画『SUMMER LIBRE』『瞽女 GOZE』、ドラマ『相棒 season21』第4話など。
【主な舞台】『メイジー・ダガンの遺骸』『寿歌二曲』『3℃の飯より君が好き』『海戦2023』『ジョージ・オーウェル~沈黙の声~』『オロイカソング』『ジレンマジレンマ』『砦』『百枚めの写真~一銭五厘たちの横丁~』『燃えるスタアのバラッド』など。
公演概要
【タイトル】 こつこつプロジェクト Studio 公演「夜の道づれ」
【作】三好十郎
【演出】柳沼昭徳
【照明】鈴木武人
【音響】信澤祐介
【衣裳】山野辺雅子
【ヘアメイク】高村マドカ
【舞台監督】川除 学
【芸術監督】小川絵梨子
【主催】新国立劇場
【キャスト】石橋徹郎、金子岳憲、林田航平、峰 一作、滝沢花野
【会場】新国立劇場 小劇場
【公演日程】2025年4月15日(火)~20日(日) ※開場は開演の30分前です。
【料金(税込)】全席指定 2,750円/Z席(当日)1,650円
【一般発売】2025年2月15日(土)10:00~
【チケット申し込み・お問い合わせ】
新国立劇場ボックスオフィス TEL:03-5352-9999 (10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス https://nntt.pia.jp/
* [ Z席 1,650円 ]Z席は、公演当日朝10:00から、新国立劇場Webボックスオフィスおよびセブン-イレブンの端末操作により全席先着販売いたします。先着販売後、残席がある場合は、公演当日朝11:00からボックスオフィス窓口でも販売いたします。※電話予約不可。
* [当日学生割引]公演当日残席がある場合、Z席を除く全ての席種について50%割引にて販売。要学生証。電話予約可。
* [各種割引]新国立劇場では、高齢者割引(65歳以上5%)、障がい者割引(20%)、学生割引(5%)、ジュニア割引(小中学生20%)、アトレ会員割引(5~10%)など各種の割引サービスをご用意しています。
【新国立シアタートーク】
日時:4月16日(水)終演後
出演:柳沼昭徳、全キャスト
司会:大堀久美子
入場方法:本公演チケット(いずれの日程でも可)をご提示ください。
【トークバック】
「こつこつプロジェクト」の一環として、演出家や出演者から、直接お客様に観劇後のご感想やご意見をうかがいます。 4月17日(木)、19日(土)17:30公演終了後 @小劇場
出演:柳沼昭徳 ほか
注意事項=当日ご観劇のお客様にそのままご参加いただくプログラムです(他日程不可)。
これまで「こつこつプロジェクト」から生まれた公演
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こつこつプロジェクト第一期に参加した西沢栄治の演出作品。 1年をかけて、この別役実の「小市民シリーズ」の代表作と向き合い、鮮やかに立体化させました。
公演期間:2021 年 12 月 7 日~19 日
会場:新国立劇場 小劇場
作:別役 実
演出:西沢栄治
出演:山森大輔、浅野令子、木下藤次郎、稲川実代子、龍 昇
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こつこつプロジェクト第二期に参加した船岩祐太が、構成・上演台本・演出を務めた作品。『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』『アンティゴネ』というギリシア悲劇3作品を1つの戯曲に再構成し、「国家と個人」を巡る人間ドラマへと創り上げました。
公演期間:2024 年 11 月 7 日~24 日
会場:新国立劇場 小劇場
原作:ソポクレス
『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』(高津春繁 翻訳による)『アンティゴネ』(呉茂一 翻訳による)
構成・上演台本・演出:船岩祐太
出演:植本純米、加藤理恵、久保酎吉、池田有希子、木戸邑弥、高川裕也、藤波瞬平、國松 卓、小山あずさ、今井朋彦
現在進行中の「こつこつプロジェクト」第三期
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2024 年 7 月にスタートした第三期は、第二期から継続して参加となった、本作の演出を務める柳沼昭徳に加え、栗原 崇、鈴木アツトの二名の演出家が参加し、創作を続けています。
■栗原 崇
■鈴木アツト
■柳沼昭徳