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フルーティスト、桶澤 実優 が語る、TOKYO OMNIBUS への期待とコロナ禍での “新しい音楽様式”

桐朋学園芸術短期大学卒業後、同短期大学専攻科及び研究科を修了。これまでに室内楽で学内オーディションにより選抜され定期演奏会に出演。また南会津アウトリーチプログラムに参加。第6回あおい音楽コンクールで優秀賞を受賞。第90回横浜新人オーディション合格、演奏会に出演。自身の演奏活動の他、小学校や施設等でのアウトリーチ活動に積極的に取り組んでいる。川崎市(武蔵小杉駅最寄り)に自身のフルート教室“うたどりの教室”を持つ。

本日は貴重なお時間をありがとうございます。始めにアーティスト写真がとても素敵で、コンセプトはどういったものでしょうか。

ありがとうございます。この写真は私自身のアーティストとしての強みやアイデンティティーがより現れるように、というカメラマンさんの考えを持って、それまでのプロフィール写真とは少し雰囲気を変え、より自然な状態で撮っていただきました。撮影場所は代々木公園です。(笑)ちなみに、カメラマンの方と何度か撮影スケジュールを調整するうち、たまたま自分の1番好きな季節に撮影をすることができました。7月ごろだったと思いますが、天気が不安定だった時期だったにもかかわらず天気が良くて本当に良かったです。

昨今のコロナ禍において、桶澤さんのアーティスト活動における変化や工夫されていることを教えてください。

もちろん、コロナウイルスの影響で今までのように外で演奏する機会は減ってしまいました。その代わりに、オンライン化の流れに沿って、これまで縁のなかった機材だったり、録音方法だったりを多く学ぶ良い機会になりました。次々に大御所のフルート奏者やヴァイオリニストの方たちもYouTubeを始められていて…、かく言う私も楽曲の動画コラボレーションに参加したりしています。また医療従事者の方々にエールを送ろうという企画で、リモート演奏にも参加しました。そして、そういった企画では基本的に自分で音を録らなければならないわけです。

録音機材を買ってきて、フルートを設置して一人で録る、といったことは初めてでした。それまでは機材などを含まずに演奏をしてきたので、自分で録った音と伴奏を、どのようにあわせて良いのかわからず…、始めはかなり苦戦しました。ただ、だんだん慣れてくるものなんですね。一方で、こういった状況だからこその企画もありました。つい先日のことですが、デジタル絵本主催の企画に参加させて頂きました。小さなお子さんたちが外に出られない、遠出することが難しい状況の中、編集の力でお子さん自身が絵本の中で主人公になれるというコンセプトの企画です。

>参加した企画を通してたくさんの子供を笑顔にすることができる、というのは素晴らしいことですね。次に、先生をされているフルートレッスンはこの状況下どのような形で行っているのですか?

現在はオンラインレッスン中心ですが、徐々に対面でのレッスンも再開の予定です。フルートは基本の構えが身体の中心から右に偏る形なので、楽器に対応しつつ自然な姿勢をつくることにコツがいるのですが、平面の画面でそれを伝えるのは工夫が要る点です。生徒さん側も少しづつオンラインレッスンに慣れてきてくださった実感はありますが、私自身が楽器を構えている写真を送るなど、レッスン後に補足資料をたくさん送るようにしています。

>桶澤さん自身も生徒さんも、試行錯誤をしながらオンラインでのレッスンを行ってらっしゃるのですね。続いて桶澤さんがフルートを始めたきっかけについてお聞かせください。

これは本当に飾らない答えになってしまうのですが(笑) 音楽教室に通い始めたのが4歳の時で、気づいたころにはもう音楽が身近にありました。そのままいつしか音楽が当たり前のように生活の一部となってここまで来た感じです(笑)

実は、最初に始めた楽器はフルートではないんです。幼児教室からはじめてピアノ、そしてエレクトーンを習いました。フルートを始めたのは中学校の吹奏楽部がきっかけです。これは管楽器あるあるだと思います。(笑)入学すると、新一年生に向けた部活紹介があるじゃないですか? この時に吹奏楽部がディズニーのメドレーか何かを演奏していて、その時に自分の好きなメロディーが割り当てられていたり、キラキラとした装飾音を受け持つのがフルートの役目だったりしたので、そこに憧れてフルートパートを希望しました。

フルートはそういう印象があります。部活紹介でフルートに憧れる中学生は多そうですね。では桶澤さんが普段フルーティストとして心掛けていることはありますか?

特に最近では、楽器の構え方だとか音色だとか、根本的なところを見直す事を心掛けています。また肩回りを固めないように肩甲骨はがしなど肩回りのストレッチを意識的に行うように心掛けています。練習自体は、間違ったやり方や無理に長時間の練習をしない限りは練習自体が害になることはないのですが、日々の生活の中で、重い荷物を持ったり、睡眠が足りなくなってしまうと身体が凝ってしまう原因になったりします。特に肩回りが凝ると音色に影響が出やすいことから、良い音色を出すために、日常生活において肩回りを固めないよう意識して過ごしています。

>次にホール等でのライブではなく、学校や施設で演奏することにおいてどのような違いがありますか?

思い返してみると全く違うなぁと感じます。ステージで演奏する時って、自分が完成させてきた作品を、“さあどうぞ聴いてください、楽しんでください” と観客の皆さんに渡す場だと思っていて。イメージとして、ステージでの演奏は音楽をそのままお客さんに届ける形なのですが、学校や施設では音楽を媒体にして、手段として使ってみなさんとコミュニケーションをとる、という意識で演奏をしています。

>学校や施設、特に学校は小さいお子さんが観客になると思うのですが、演奏に対しての反応ってやっぱり舞台と比べてわかりやすかったりしますか?

めちゃめちゃわかりますよ!(笑) 私は訪問演奏で、老人ホームにお邪魔することも多いんです。小さい子ももちろん嘘をつかないのですが、お年寄りも大人な対応はありつつも響いた、響かない、は演奏する身からするととてもわかりやすいです。そこが楽しさでもあります。

>それはホールなどの演奏にはない面白さでもありそうですね。

最近はコロナの影響もあって難しいですが、定期的に演奏に行っているところもあるので、そういったところではお名前を憶えて、演奏後に自分からコミュニケーションをとる時間を設けたりもしていました。

>桶澤さんの訪問演奏を心待ちにされている方がたくさんいると思います。次に本番前や本番当日のルーティンはありますか?

私の場合は本番前のルーティンのようなものはなくて。そのためいつも通り、そして気負わないようにしています。前日までに準備していたものがすべてだと思っているところがあるので、当日を迎えて、まあ後は結果を待つだけさ、と思っています(笑)

でも、どちらかというと子供の時よりも、大人になってからの方が緊張ってするんだな、と最近は思ったりもします。コンクールのように結果が出るもの、結果が求められるものはやはり緊張します。ただ私は周りの人から緊張しているように見られにくくて。ポーカーフェイスというか…、私自身すごく緊張していても、周りからは気づかれません。そこは得かな、と思っています。緊張していると周りも心配してくれて、さらに緊張したりするじゃないですか。周りに緊張がバレないのは、生まれつき得しているなって思います(笑)

緊張のほぐし方はありますか?

いつも通り…あとは、考え方にはなってしまうのですが緊張を悪いものだと捉えないことが大事です。緊張してアドレナリンが出ているというのは、これから頑張ることに対してエンジンをかけてくれている、身体が対応してくれているという風に考えています。緊張している、どうしよう、と思うより“これは必要なエネルギーを出してくれているのだから、これを使って頑張ろう“というように考えるようにしています。

>緊張をプラスに変える。アーティストに限らす活かせる考え方ですね!
舞台での話といえば衣装についても気になります。いつも素敵な衣装ですが、ご自身で選ばれているんでしょうか?

実は衣装は、最終的には友人や周りの人に選んでもらうことが多いです。一緒に買いに行くというよりは、ホームページなど先ずは自分で見つけたものを“これとこれで迷ってて…”と、いくつか友人に送って、その中から選んでもらうことが多いです。フルートの演奏しやすさを考えて、肩回りに華美な装飾がないことも衣装を選びの際には考慮しています。あとはアンサンブルの際には一緒に演奏する方と衣装の色合いを合わせたりもします。

>演奏形態によっても衣装を選ぶ際のポイントが変わるわけですね。続いて少しプライベートな質問になりますが、音楽以外の趣味はありますか?

これが本当になくって…、強いて言うならば…、といっても結局フルートになってしまうのですが、フルートでJ-POPを吹くことにハマっています。これは自粛期間中に参加した企画でJ-POPを吹いたことがきっかけなんです。これまではクラシックばかり吹いていたのですが、医療従事者の方に向けた企画をきっかけに、吹いてみたいと思うようになりました。気になった曲は楽譜を探して実際に吹いています。

異なるジャンルの曲を演奏する事で本来のアーティスト活動においても良い発見、化学反応がおきるのでしょうね。桶澤さんは普段どういったジャンルの曲を聴くのでしょうか?

ジャンルで言うと、クラシック、J-POPですね。最近はお店での演奏でJAZZやJ-POPを織り交ぜた曲を演奏するので、J-POPを聴くようになったのはそういった影響もあると思います。クラシックの編成で答えるならば木管五重奏です。よく聴く音楽の中では木管五重奏編成の曲が一番好きかな。

>ありがとうございます。それでは、桶澤さんが「TOKYO OMNIBUS」に参加したきっかけを教えてください。

大学の掲示板に、TOKYO OMNIBUSのオーディションがありますという貼り紙が貼られていて、そこではじめて知ったんです。私は“とにかく飛び込む”という考え方なので、貼り紙を見た瞬間に受けるしかないでしょう!と思いました(笑) それから、なんの迷いもなく大学で開催されたTOKYO OMNIBUSのオーディションに参加しました。

>それで合格を勝ち取られたわけですね!ではTOKYO OMNIBUSを通じて、今後フルーティストとしてアンサンブルをしてみたいアーティストのジャンルやパートはありますか?

フルートという洋楽器と、箏という和楽器を合わせると和洋折衷なアンサンブルになるので、フルートとお琴の組み合わせは面白いと思います。箏は、昔からのものに加え、近代になって進化を遂げたものがあります。

弦の数が多くなり、低音もカバーすることができるようになったんです。そのため、ピアノのような楽譜でも汲み取りながら演奏することが出来るようになりました。私は学生時代にお琴とアンサンブルをした経験があるのですが、その際は尺八や篠笛のパートをフルートで演奏しました。フルートを尺八の雰囲気に寄せて演奏することもできますし、洋楽器として演奏して和洋折衷な雰囲気を楽しむこともあります。逆に、本来フルートとピアノで編成された曲のピアノパートを琴が担当してアンサンブルを行うこともあります。様々な演奏方法があるため、聴く側も奏者側もとても楽しめますよ。

また、前回インタビューを受けていたダンサーのkanokoさんの記事を読み、“そうか、ダンスともコラボレーションができるのか!”とハッとしました。こういった普通ではなかなか思いつきもしないコラボレーションが可能になるところがTOKYO OMNIBUSの魅力の一つでもあると思います。

やってみたいことが沢山あって…(笑)絵本の朗読とか。朗読に、生演奏を付けるんです。生演奏付きの朗読、聴いてみたくないですか?TOKYO OMNIBUSで実現出来たらすごく面白くなると思います。

>素敵なアイデアですね!ぜひTOKYO OMNIBUSで実現させてください。それでは最後に、この記事を読んでいるみなさんに向けてメッセージをお願いします。

今回のコロナウイルスの影響からアーティスト活動で制限されたことも勿論ありましたが、その一方で音楽を届ける手法の多様性について気づかされる機会でもあったと思います。普段、フルートを聴くタイミングがない方々もたくさんいると思いますが、この記事や、TOKYO OMNIBUSを通じて、一層、フルートの魅力や私の表現を伝えられれば嬉しいです。


桶澤 実優(おけざわ みゆ)
(flutist)
https://instagram.com/m_flute83991?r=nametag
フルート教室「うたどりの教室」
川崎市(最寄り駅:武蔵小杉駅)