ベートーヴェンが今でも愛されているように、200 年後にも愛され続けるオーケストラ曲を日本から生み出したいという願いで立ち上げられた「ニュークラシックプロジェクト」。
藤岡幸夫、山田和樹、鈴木優人、原田慶太楼という、日本のクラシック音楽界をけん引し、海外でもポストを持つ四人の指揮者が、受賞作を選び演奏するプロジェクトである。
昨年4月から募集が開始されたこのプロジェクトは、昨年末の締切りまでに44作品の応募があり、その後、4人による譜面審査と話し合いにより、このたび受賞の4作品が決定した。
受賞者は、現役の音大生から、既にプロとして活動している作曲家まで多彩な顔ぶれで、それぞれ魅力的な作品が集まり、5月15日の受賞演奏会が大いに期待される。
受賞演奏会では、決定した4作品から、それぞれの指揮者が特に気に入った作品を担当し披露される。
コンサートは、録音され日本コロムビアDENONレーベルから発売されるとともに、音楽番組「エンターザミュージック」(BSテレ東 毎週土曜日 朝8時半~)で収録されて、複数回に分けて作品が紹介される。
また、全音楽譜出版社とユニバーサルエディション社(Universal Edition AGオーストリア)の協力が決定しており、受賞4作品は、国内外で楽譜の入手が可能になる。
<受賞作品>
城代悠子:IKUSA Yuko KINOSHIRO : IKUSA
萩森英明:東京夜想曲 Hideaki HAGINOMORI : Tokyo Nocturne
松井琉成:交響詩《うつしがたり〈翠〉》 Ryusei MATSUI : Utsushigatari, Symphonic Poem
山田竜雅:《祈り》〜⼥声と管弦楽のための〜 Ryuga YAMADA : Prayer – for soprano solo and orchestra
ニュークラシックプロジェクトHP : https://newclassics.jp/
■指揮者からのコメント
◎鈴木優人
奇怪な(!?)YouTubeチャンネル「The Three Conductors」に藤岡幸夫マエストロがゲストとして来てくださったご縁から生まれたこの新しい企画に、本当に数多くの力作を寄せていただきました。まずは応募くださったすべての作曲家の皆さんに心からの敬意と感謝を申し上げます。私が指揮することになった作品の作曲家である萩森英明さんは、すでに各方面でご活躍ですが、それでもなお今回の募集に合わせて新しいコンセプトで、まさに「東京らしい」音楽を書いて下さいました。今から初演が楽しみでなりません。そして東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団とACO愛知室内オーケストラの新しい出会いが、これから日本で何度も演奏されていくであろう4つの音楽との新しい出会いを生み出すというのは、まさにこの《NEW CLASSIC》の企画にふさわしい刺激的な交流になることでしょう。新しい音楽が生まれていくこの現場を温かい目で見つめていただけたら、これ以上に嬉しいことはありません。5月15日に会場でお目にかかれるの楽しみにしています。
◎原田慶太楼
ニュークラシックプロジェクトに沢山の作品が応募されてとても喜んでいます。
全ての作品に作曲家の個性がとても良く表現されていて、皆さんのスコアを読むのがとても幸せでした。
4人の指揮者の採点結果には僕が好きだった4曲全てが残ることになりとても嬉しかったです。その中から僕は城代悠子さんの『IKUSA』を振る事になりました。
この曲の戦「いくさ」は、人が葛藤を重ねながら時に自分の運命と戦う「戦」であり、人が時に戸惑いや葛藤を抱えながら自らの運命と戦っていく様子を表現しています。
城代さんの作曲には幸せを運ぶハーモニーとメロディー、リズミック・エネルギーがあります。聴いてる方に楽しさとワクワク感を感じさせてくれる魔法使い。この作品を世界中のオーケストラに知っていただいて演奏してもらいたいと思い選曲しました。世界初演がとても楽しみです。
◎藤岡幸夫
今回の企画では予想以上の44作品が集まり、期待以上に優れた才能の作曲家がいらっしゃり嬉しかったです。その中で私は何度も再演される可能性のある作品を選びました。
松井琉成さんの交響詩「うつしがたり〈翠〉」は、とても若々しく、華やかなオーケストレーションと豊かな旋律で不思議な世界が目に浮かぶような魅力的な作品です。また松井さんには今後新たに更なる大作の期待も持てるのでとっても楽しみです!
◎山田和樹
奇しくも「ヤマダconductsヤマダ」となる訳ですが、山田竜雅さんの作品は現代音楽の要素も多分に含みながらもスコアが大変に美しく、審査の段階でページをめくりながら、この作品を指揮することが出来ればと思っていたので、それが実現することになりとても嬉しく思っています。日々数多く生まれている現代音楽の中でも再演に恵まれる作品に共通しているのは、やはりスコアの美しさだと思います。
この作品は女声のソリストを必要とするという点でも特別ですし、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と愛知室内オーケストラとの合同演奏という意味でも一層気が引き締まります。初演を迎えるのが今からとても楽しみです。
■作曲者からのメッセージ
◎城代悠子:IKUSA
選んで頂くことができ大変光栄です。とても嬉しい気持ちとともに、作曲家として改めて精進しなければと強く感じております。
タイトルの「IKUSA」は人間が戸惑いや葛藤を抱えながら、様々な困難と戦っていく様子を表現しました。またモーリス・ラヴェルなど近代クラシック作曲家の響きを取り入れ且つ現代のゲーム音楽などにも通じる、若い人にも親しみやすい曲として制作致しました。
◎萩森英明:東京夜想曲
この度は作品をお選びいただき、大変光栄に思います。
新しいオーケストラ作品を生み出していく、というこのプロジェクトの趣旨に大いに賛同、触発され、是非何か書かなくては、と衝き動かされました。
私の生まれ育った街、東京の夜をテーマに、常に変化し続ける街を色彩豊かに描いています。
新しい作品が集まるこのコンサートを、一人の観客としても大変楽しみにしております。
◎松井琉成:交響詩《うつしがたり〈翠〉》
このような新しいプロジェクトに入賞することができて大変光栄です。
植物が歩いたり物がしゃべったりする不思議な別世界にたどり着いてしまった⻘年。鏡を通して眺められる現実世界の悲惨さから目を背けて穏やかな生活を満喫する青年でしたが、その別世界もやがて暗黒に支配されそうになり....。そんな物語の各シーンを聴いた人に思い浮かべてもらえるよう作曲しました。
◎山田竜雅:《祈り》〜⼥声と管弦楽のための〜
この度、拙作を受賞作品に選出していただきましたことを、大変嬉しく感じると共に、未だに信じられない気持ちでいます。指揮者のみなさま、そして当プロジェクトの関係者の方々に、この場を借りて心より感謝申し上げます。曲は2部構成となっています。「音楽とは何か」を自分自身に問いかけて、見つけた答えを表現しました。その答えに、誰か1人でも共感していただけましたら幸いです。
「ニュークラシックプロジェクト」受賞記念コンサート
New Classics by 4 conductors
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、愛知室内オーケストラ
城代悠子:IKUSA Yuko KINOSHIRO : IKUSA
指揮:原田慶太楼/愛知室内オーケストラ
Aichi Chamber Orchestra / Keitaro Harada, conductor
萩森英明:東京夜想曲 Hideaki HAGINOMORI : Tokyo Nocturne
指揮:鈴木優人/愛知室内オーケストラ&東京シティ・フィル
Aichi Chamber Orchestra & Tokyo City Philharmonic Orchestra / Masato Suzuki, conductor
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松井琉成:交響詩《うつしがたり〈翠〉》 Ryusei MATSUI : Utsushigatari, Symphonic Poem
指揮:藤岡幸夫/東京シティ・フィル
Tokyo City Philharmonic Orchestra / Sachio Fujioka, conductor
山田竜雅:《祈り》〜⼥声と管弦楽のための〜
Ryuga YAMADA : Prayer for soprano solo and orchestra
指揮:山田和樹/東京シティ・フィル&愛知室内オーケストラ
Tokyo City Philharmonic Orchestra & Aichi Chamber Orchestra / Kazuki Yamada, conductor
2023年5月15日(月) 19:00東京オペラシティ コンサートホール
全席指定 S¥5,000 (消費税込)
主催 ジャパン・アーツ、日本コロムビア
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
公演HP https://www.japanarts.co.jp/concert/p2024/
3月4日(土) 前売開始
ジャパン・アーツぴあオンラインチケット先行:2月25日(土)
ジャパン・アーツぴあ 0570-00-1212 www.japanarts.co.jp
東京オペラシティチケットセンター (03)5353-9999
チケットぴあ t.pia.jp [Pコード236-899] イープラス eplus.jp
ローソンチケット l-tike.com [Lコード33122]
■作曲者プロフィール
城代悠子
国立音楽大学卒業、卒業作品演奏会に選出され出品。東京国際芸術協会(TIAA)全日本作曲家コンクール入選。かつしか作曲コンクール第3位受賞。国際芸術連盟主催「21世紀ピアノ音楽の領域」に出品。ジャンルはクラシックからPOPまで制作しており、ユーチューブBGMやアプリ通知音も制作してきた。
萩森英明
東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。作品はこれまでに群馬交響楽団、東京交響 楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、セントラル愛知交響楽団、琉球交響 楽団、ハワイ交響楽団、ルーマニア国立放送交響楽団などによって、演奏され ている。特に琉球交響楽団に書き下ろした「沖縄交響歳時記」は「レコード芸 術誌」特選盤に選ばれた。 編曲家としての活動も多く、これまでに日本の主要なプロオーケストラの為に 数百曲のスコアを書くほか、「題名のない音楽会」「紅白歌合戦」など TV 番組の 編曲など、活動は多岐にわたる。 日本作編曲家協会理事。洗足学園音楽大学非常勤講師。
松井琉成
国⽴⾳楽⼤学作曲専修4年。
3歳で初めて作曲して以来、創作活動を続けてきた。現在は箏曲アンサンブルや室内楽曲、吹奏楽マーチなど様々な編成やジャンルの曲作りを⾏っている。
子ども時代はピアノやエレクトーンに熱中し、中学高校時代には吹奏楽部員として打楽器の演奏にも携わった。
これまでに作曲を松谷しのぶ氏、吉⽥峰明⽒、菊池幸夫⽒に師事。
山田竜雅
⼤阪府出⾝。⾼校⽣の頃より作曲を⾼昌帥⽒に師事。現在、⼤阪⾳楽⼤学作曲 専攻 4 年在学中。これまでの主な作品・・・《⽣命の躍動》〜打楽器六重奏のた めの〜、《祈り》〜⼥声と管楽合奏のための〜(どちらも⼤阪⾳楽⼤学の公式 YouTube チャンネル『⼤阪⾳楽⼤学【DAION】』にて公開中)
■指揮者プロフィール
鈴木優人
東京藝術大学及び同大学院修了。オランダ・ハーグ王立音楽院修了。令和2年度(第71回)芸術選奨文部科学大臣新人賞、第18回齋藤秀雄メモリアル基金賞、第18回ホテルオークラ音楽賞受賞。バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)首席指揮者、読売日本交響楽団指揮者/クリエイティヴ・パートナー、アンサンブル・ジェネシス音楽監督。指揮者としてNHK交響楽団、読売日本交響楽団等と共演。2017、2020年には鈴木優人プロデュース・BCJオペラシリーズを制作、上演。モンテヴェルディ:歌劇「ポッペアの戴冠」(2017)、ヘンデル:歌劇「リナルド」(2020)はバロック・オペラの新機軸として高く評価されるとともに多くの話題を呼んだ。NHK-FM「古楽の楽しみ」のパーソナリティーの他、テレビ朝日「題名のない音楽会」にもゲストとして度々出演している。録音はBCJとのJ.S.バッハのチェンバロ協奏曲集(BIS)、タメスティとのデュオ(Harmonia Mundi)など多数。調布国際音楽祭エグゼクティブ・プロデューサー、舞台演出、企画プロデュース、作曲とその活動に垣根はなく各方面から大きな期待が寄せられている。九州大学客員教授。
Twitter / @eugenesuzuki
Facebook & Instagram / masatosuzukimusic
原田慶太楼
現在、アメリカ、ヨーロッパ、アジアを中心に目覚しい活躍を続けている期待の俊英。
シンシナティ交響楽団およびシンシナティ・ポップス・オーケストラ、アリゾナ・オペラ、リッチモンド交響楽団のアソシエイト・コンダクターを経て、2020年シーズンから、アメリカジョージア州サヴァンナ・フィルハーモニックの音楽&芸術監督に就任。
オペラ指揮者としても実績が多く、アリゾナ・オペラやノースカロライナ・オペラに定期的に出演、シンシナティ・オペラ、ブルガリア国立歌劇場でも活躍。
10年タングルウッド音楽祭で小澤征爾フェロー賞、13年ブルーノ・ワルター指揮者プレビュー賞、14・15・16・20・21・22年米国ショルティ財団キャリア支援賞受賞。09年ロリン・マゼール主催の音楽祭「キャッソルトン・フェスティバル」にマゼール本人の招待を受けて参加。11年には芸術監督ファビオ・ルイジの招聘によりPMFにも参加。
85年東京生まれ。インターロッケン芸術高校音楽科において、指揮をF.フェネルに師事。
オーケストラやオペラのほか、室内楽、バレエ、ポップスやジャズ、そして教育的プログラムにも積極的に携わっている。
2021年4月東京交響楽団正指揮者に就任。
オフィシャル・ホームページ: kharada.com/ @KHconductor
藤岡幸夫
関西フィルハーモニー管弦楽団 首席指揮者
Principal Conductor of the Kansai Philharmonic Orchestra
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 首席客演指揮者
Principal Guest Conductor of the Tokyo City Philharmonic Orchestra
英国王立ノーザン音大指揮科卒業。最も才能あるEU加盟国の若手指揮者に贈られる「サー・チャールズ・グローヴス記念奨学賞」を特例で受賞。1994年ロンドン「プロムス」にBBCフィルを指揮してデビュー以降、多くの海外オーケストラに客演。2017年にはアイルランド国立響とのマーラー第5交響曲が聴衆総立ちの大成功を収めた。首席指揮者として毎年40公演以上を共演し2023年に24年目のシーズンを迎えた関西フィルとの一体感溢れる演奏は常に高い評価を得、2019年の首席客演指揮者就任直後から展開している東京シティ・フィルとの特徴ある活動は毎回大きな注目を集めている。放送出演も多く、番組立ち上げに参画し指揮・司会として関西フィルと共に出演中のBSテレ東『エンター・ザ・ミュージック』(毎週土曜朝8:30)は2022年10月に9年目に突入、放送450回に迫る人気番組。英シャンドスからBBCフィルとのCDを8枚、関西フィルとのシベリウス交響曲全集をALM RECORDSからリリース。著書に『音楽はお好きですか?』『続・音楽はお好きですか?』(敬文舎)。2002年渡邉曉雄音楽基金音楽賞受賞。
公式ファンサイト http://www.fujioka-sachio.com/
山田和樹
第51回(2009年)ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。ほどなくBBC交響楽団を指揮してヨーロッパ・デビュー。以降、パリ管弦楽団、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン)、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、ベルリン放送交響楽団、エーテボリ交響楽団、サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団など世界の主要オーケストラに客演を重ねている。
2017年にはベルリン・コーミッシェ・オーパーで《魔笛》、モンテカルロ歌劇場で《サムソンとデリラ》を指揮して高い評価を得るなど、オペラの分野でも活躍。
2014/2015年にアメリカ・デビュー、2015/2016年にはオセアニア・デビュー。
2021年にはサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団デビューを成功させ、再客演が予定されている。
2012年から2018年までスイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者を務めた他、2016/17シーズンから、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督に就任。2018/2019シーズンから首席客演指揮者を務めるバーミンガム市交響楽団では、2023年4月から首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーに就任することが発表された。
日本では、日本フィルハーモニー交響楽団正指揮者、読売日本交響楽団首席客演指揮者、東京混声合唱団音楽監督兼理事長、学生時代に創設した横浜シンフォニエッタの音楽監督としても活動している。
公式twitter @yamakazu_takt